全国の刑務所では今,団塊世代の刑務官が続々と定年を迎え,その大量退職のため悪戦苦闘している。法務省矯正局によると,全国76か所の刑務所等で働く刑務官は約1万6,700名。2006年時点で,団塊世代を含む50歳以上のベテランが全体の約3分の1を占めていたが,団塊世代の退職が始まった2007年春の退職者数は2006年を67名上回る240名,さらに今春は414名にまで急増した。
こうしたベテラン刑務官の減少が今,思わぬ事態へと発展しているそうだ。
各地の刑務所では受刑者数が定員を上回る「過剰収容」が深刻化している。刑務官退職による人手不足を解消するため,法務省では,若手の増員を図ってきた。平成20年度の刑務官採用予定数は,刑務A(男子)が約790名,刑務B(女子)が約100名で合計約890名となっている。しかしながら,一方で受刑者の高齢化が進み,1997年末で約3,500名だった60歳以上の高齢受刑者は2006年末には約8,700名に膨れ上がっている。そうした背景もあり,高齢受刑者が若手刑務官をなめてかかり,所内の規律の緩みから,昨年11月には徳島刑務所の所内の工場で作業中の受刑者が集団で暴動を起こし,刑務官4名が負傷する事件が発生した。
刑務官は,受刑者の生活や労務作業を監視するだけでなく,受刑者の相談に乗ったり,受刑者間のトラブルの解決を図ったりする重要な役割を担う。1人で50人以上を監視することもあるうえ,受刑者の心身の状態を正確に把握しなければならず,長い経験で受刑者との信頼関係を築いた刑務官が必要とされる場面は多い。そうしたことからも法務省では若年者よりも定年退職者の再雇用を積極的に進めるよう方向転換を図り,今春の再雇用者は昨年の2倍を超す107名にまで増やした。各刑務所では,再雇用者を講師役にした研修会なども繰り返し開催し,長い経験で培われた処遇技術を若手に習得させる教育を充実させていく方針ということだ。
確かに高齢受刑者にとっては,自分の孫ほどに年の離れた若手刑務官からのややもすれば高圧的な命令に従い続けるのは,反発の感情へと転化することもあるだろう。年齢から来る経験と人格の重みはなかなか埋められるものではないが,いつまでも高齢の再雇用者に頼ることはできないだろう。高校を出たばかりの若者では心もとないのであれば,30〜40歳の中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)での刑務官枠を広げるのも一考か。受刑者の高齢化は今後,どんどん進んでいくと考えられる。所内の規律を正していく方策を熟考するとともに,これから刑務官をめざす方々には,長い経験で培われた先達刑務官の処遇技術を積極的に吸収して,毅然とした信頼される刑務官となってほしい。
平成20年度刑務官採用試験の申込受付(入国警備官,皇宮護衛官,海上保安学校学生,航空保安大学校学生も同時)は,8月5日(火)締切りです!
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